再生可能エネルギーの普及を目的としてスタートした固定価格買取制度(FIT制度)は、買取保証期間中、国が決めた価格で電力会社に電力を買い取ることを決めた制度で、再生可能エネルギーの売電を保障したものです。例えば住宅用太陽光発電システムの導入には百数十万円といった大きな費用がかかりますが、余剰電力を売電して収入を得ることができるため、導入費用の償却も考えることができるのです。FIT制度によって決められている電力の価格は住宅用太陽光発電システムの場合、制度がスタートした2009年は40円台であったものが現在は20円台まで下がってきますが、それでも高い価格が保証されているため、売電収入を得ることができるというのが太陽光発電システムの魅力になっています。
しかしながら、買取保証期間は永遠ではなく、FIT法では住宅用太陽光発電システムの場合は10年、産業用太陽光発電の場合は20年と決められているため、制度がスタートした2009年から10年目となる2019年には買取保証期間が終了する、卒FITとなる住宅用太陽光発電が出てきます。買取保証期間が過ぎても太陽光発電システムで発電ができなくなるわけではないため、発電をすることはできるのですが、売電できるかどうか、そして売電できたとしても電力の価格がいくらになるかは地域によって異なります。
地域によっては電力会社が買取保証期間を過ぎた電力の買取を停止しているところがあり、そのような地域では売電をすることが難しいでしょう。また、現在火力発電の発電コストは13円程度ですから、卒FIT後は売電できたとしても、価格が小さくなり、売電収入は大きく落ち込むことが予想されます。 そのため、卒FIT後太陽光発電システムの様々な活用方法が提案されていますが、注目を浴びているのが、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせて利用し、電力を売電するのではなく、電力を自宅で消費する方法です。太陽光発電システムと蓄電池の組み合わせはダブル発電となって買取価格を下げてしまうため、買取保証期間中は組み合わせて利用することは難しいところがありましたが、売電するのではなく、電力を自宅で消費するのであれば、ダブル発電を気にせず太陽光発電システムで作りだした電力を蓄電池に貯めて、夜間や発電量を見込めない曇りや雨に利用するという利用ができます。太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることによって電気料金の大きな節約を期待するばかりか、電力の自給自足も期待することができるのです。